板橋区ホタル生態環境館 羽化によりホタル生息調査の間違いが明確になる

 ホタルの季節も終盤に差し掛かり、ホタルたちが自ら羽化することで、調査結果の間違いを証明しつつある。

 

今月7月11日に「板橋区、生息数少ないと閉館 ホタル館で110匹確認」という記事が産経新聞に掲載されました。

http://sankei.jp.msn.com/region/news/140711/tky14071102400003-n1.htm

 

記事概要

板橋区が5月に閉館を決めた「ホタル生態環境館」で、110匹以上のホタル生息が確認されたことが10日分かった。閉館の理由は施設の老朽化とともに生息数が少ないこと。今月7日時点でホタルを捕獲した累計数 ガラスハウス内で94匹、屋外の水路で16匹の計110。9日夜には超党派の区議14人が視察。館内では捕獲していないホタルが光を放ち、区議からは「区はもういないと言うが、実際にいるではないか」との声が上がったという。ヘイケボタルは今月ピークを迎えるため、生息数はさらに増えるとみられる。就業訓練の大学生とボランティアは「区の推定数を上回り、調査方法に問題があったのは明らか」と指摘。 区は同館の存廃をめぐって、1月抜き打ちで調査を実施。サンプリングで2匹を確認し、この数から推定個体数を23匹として閉館の理由にしていた。区は「調査方法自体は最良の方法だった。廃止の方針に変更はない」としている。

 

その後“板橋区ホタル生態環境館”(ホタル館)のサイトで、7月8日までの以下の羽化数が発表され、せせらぎ、ビオトープ、飼育室、水槽のすべてで羽化が確認された。

http://www.ita.ed.jp/ecopolis/hotaru/data/data3_uka20140708.pdf

ゲンジボタルのオス51匹、メス13匹 合計64匹ヘイケボタルのオス47匹、メス11匹 合計57匹 総合計121。7月15日の地元高島平新聞には7月9日時点で、126数えられたと記載されている。

  

幼虫23匹説はすでに崩れ、ホタル生態生息調査の不適切さは証明されています。

ホタルがいなかったのでは無く、見つけられなかったという方が正しい表現になる。

 

すべて3月末の終令幼虫だったと仮定しても、推定23匹が成虫になる確率は30%以内、1月末でしたら、今の管理状況では5%あるかないかと考えると幼虫から成虫への羽化率から考えると成虫になれる推定羽化数は成虫6~7匹または1~2匹になります。しかも見つけた幼虫2匹はせせらぎに戻さず、水槽で飼育していたという。

したがって、成虫が126匹羽化するには、遡って考えると1月末からの羽化率はせいぜい5%ぐらいと考えると、調査時に2520匹以上の幼虫がいなければ、これだけの数は羽化出来ないことになる。

 

また、見つかった2匹の幼虫は2cmという大きさから考えて、終令幼虫に近く、一昨年24世代の年越し幼虫、2年目の幼虫と考えられますので、結局、この調査によって、25世代目の今年の幼虫は1匹も見つけられなかったゼロということになり、大きな問題です。

 

ですから、比較するべきは23匹と126匹ではなく、2520匹になります。さらに羽化数掲載の7月9日以降にヘイケボタル羽化のピークを迎え、ゲンジボタルよりヘイケボタルの方が生き残る可能性も高く、8月いっぱい羽化する可能性が高いため、さらに増えると思われます。

 

よって、完全に調査の不適切さが証明されたことになる。

 

今までホタル館では、統計的に1匹見つかるとだいたい統計的に30匹羽化していたそうです。見学者が見つけた初めの1匹の写真(いたばしホタルの安全〈いのち〉を守る会のサイトに写真掲載)をご覧になって、元館長はその位置から下の方で、すでにかなり羽化しているはずだと指摘されました。
http://hotaru-save.jimdo.com/ニュース/  

 

ホタルは土の中から羽化しますので、しばらく下に留まり、ある一定の羽化が行われるとだんだん上に上がってくるそうです。

ですから、そういう意味ではその後も実際に見学者が見つけたホタルからの成虫数が少ないので草を刈ったときに葉の裏側で寝ていたホタルも捨ててしまったのではないかと心配しています。

多ければ多い程、調査の不適切さが明らかになりますので…。

 

ホタルを昼間見つけるのは大変難しく、通常夜の光で数えます。

実際には、当初今の方々は夜も8時ぐらいまで、夜残るのは週1~2回と伺っていました。その後、多くなったという情報も聞いていますが、ホタル夜間特別公開時でも8時以降の方が飛んでいました。

夜結構飛んでいるという話も耳にしますので、推定羽化数はもっと多く、数百匹ぐらいではないかと考えられます。

ホタルは羽化して、すぐに飛ぶわけではなく、5日間ぐらいじっとしていて、最後の2日間で飛翔し、輝くので、毎日数得ることが必要です。現在、見つけるとすぐに産卵箱に入れていると聞いていますが、それは間違いで、正確な数は出てこないそうです。

 

調査のどこが間違っていたのか

1.  幼虫の大きさ

この時期のホタルの幼虫(幅約0.5㎜,丸まると約3㎜,ゲンジ体長約8㎜,ヘイケ6~7㎜:個体差があるため体長はばらつきがある)、カワニナの稚貝においては 約1~3㎜という小さな生き物です。以下の動画が1月30日にホタル生態環境館の水槽に残っていた実際の幼虫の大きさ。

 

 

この時期の幼虫は5,000匹集めても50円玉と同じぐらいの大きさにしかなりません。7万匹でも50円玉14枚程度です。

ホタル館独自の飼育システムで、調査時の水温が10.5度でした。脱皮のばらつきを押さえることと、夏の夜間特別公開を視野に、常に水温は調整されていましたので、自然界及び一般的な他の飼育方法とは全く違っていたのです。下表のように、水温と大きさはほぼ比例します。

ゲンジボタルの成長

 

調査の際、区管理職より調査会社に1cm以上という指示も出ていたそうですが、この時期のホタル館の幼虫の大きさを全く把握せずに指示していたことになります。

この時期にいるこの終令幼虫に近い2cmの幼虫は1年目に上陸せず2年目の幼虫のようです。

種の保存の法則で、必ず何割かの幼虫は上陸せずにそのまま留まります。
  

しかも調査を行った自然教育研究センターの方々は小さな幼虫の見分けが付かなかったようです。見落とし、破棄してもいたと聞いています。 

調査時の録画には「そこにおちびさんがいるじゃないか」という後から入って来た元館長の声が入っていますが、カウントされませんでした。

 

2.調査方法について

時期】

・本来はホタルにおける調査方法の多くは、幼虫期の無理な調査を避け、成虫期の正確な調査を行う。

まさに現在出されている陳情110号 板橋区ホタル生態環境館の再調査を求める陳情にあった再調査は十分出来たのです。

ところが行わなかったのは、数が多いと困るからと考えられる。また、現在は監視カメラも設置していますので、成虫持ち込みという話は通用しないこともあるかもしれません。

 

参考:環境省重要生態系監視地域モニタリング推進事業ホタル類

www.biodic.go.jp/moni1000/manual/firefly_manual_3_0.pdf

 

幼虫期の調査についてはホタル館で行う場合の後に説明するトラップを掛ける方法で調査する。

その場合も9 ~11月、又は3月中旬から4月の上陸前です。やはり、休眠中で動かない越冬中の12~2月は避けるのが基本になる。

3月になれば、区資源環境部ご希望の大きな終令幼虫がたくさん見つかるはずでした。

  

一番、入ってはいけない見つけ辛い時期を選んだという意味でも、廃止するために、幼虫数そのものを減らす目的があったとしか考えられないのです。

  

翌日、水槽から見つかった幼虫は30~40匹で、区へは報告済みだそうですが、聞く耳を持たなかったそうで、一切発表されていません。これは区民も確認しています。

そのように、ホタル生態環境館ではせせらぎに、もしものことがあった場合を考え、危機管理として水槽でも飼育していたそうです。
 
実際には適正時期に元館長が調査すれば、必ずたくさんの幼虫が見つかることが分かっていたので、除外したのではないでしょうか。

 

【調査方法】

『「河川水辺の国勢調査 基本マニュアル[河川版](訂正動物調査編)を使用する場合の最低条件は流れを止める

 

・せせらぎ内の水温は10.5℃、流速は毎秒約40センチ前後。調査に人が胴長や長靴を履き、流れに逆らう様に入って行ったため、そのままでは人が足を入れた途端に当然水が吹き上げられて、流されてしまいます。足の下敷きになった幼虫は潰されます。

循環式なので低層にあった有機質やホタル若齢幼虫、カワニナの稚貝が流され、循環ピットの 網に引っ掛かりせせらぎ飼育水が8回程目詰まりをした。この時に本来ならば、タライ等に付着物を移すのが基本ですが、全くその様な行動は見られず、数多くの生態が犠牲となった。

 

・採集時の映像を見る限り、かなりあらっぽく扱っています。まず、用土や砂と一緒にすくったり、 サーバーネットに、無造作に入れれば、 幼虫は潰れてしまいますので、その時点で、まず間違っています。幼虫の場合、お水を入れないで、用土と砂だけをジッパー付のビニール袋に入れるのは間違いです。また、バットに入れて、幼虫を探す場合もお水を入れるのが基本ですが、ほとんど水を入れずに探していた。

サーバーネットから目の荒いザルに移した時点で下へ落ちてしまいます。 ザルに入れて、振ったり、 お水を無造作に掛けると、水圧でつぶれてしまう可能性が高いのです。

 

また、普段幼虫を育てている人間にも確認しましたが、あんなに早く作業出来るはずが無いということでした。水槽内で探すにも、実際には一つ一つの砂の裏をめくって確認するような、もっとずっと時間が掛かる大変根気のいる作業だそうです。

ざっと見て、見つからないとそのまま排水溝や網の下が地面になっているところにも下を確認せずに破棄していた。

 

多分、この調査会社は水槽とは全く違う自然河川に近い、土や砂の中の幼虫を探すのは初めてだったのではないだろうか。 多分、どうしていいか分からなかったのではないかと推測されます。

元館長やスタッフがどのようにやさしく扱っているか見て来ましたので、ちょっと考えられない乱暴さです。

あの調査は国土交通省の役割から考え、多分、どこに何がどのくらいいるかの調査に使うもので、明らかにホタルと分かっているところで使用するものではないように思います。

 

ホタル館でせせらぎ内の幼虫の生息数調査をする場合に使われていたのがトラップを仕掛ける方法です。

ホタル幼虫が好む飼料や特別配合硅砂及び那智石等を入れたトラップ(ステンレス製縦16㎝横11㎝高さ6.5㎝)を仕掛ける。流れが比較的安定している箇所にトラップを静かに沈め軽く3分1程度砂等に埋め、約2~3日程度そのままにして置き、その後トレーなどにトラップに入っている水を 含む中身をそっと移し、幼虫等を確認する。確認したときは、スポイトを用いて静かに水毎優しく吸い 上げ別容器に移す。

せせらぎの状態を維持しながら行うのはこれしかないそうですが、今はほとんど行わないとのこと。 なぜなら、やはり、中に埋め込む為にどんなにやさしく扱っても、ダメージがあるということです。

 

その他の方法:水を抜いて底をすべてさらう方法

これも幼虫へのダメージがあまりに大きく、適切ではない。 元館長はひとつのものを行うのにもあらゆる方法を試されていることが、論文等を見ても明らかです。

やはり、もしホタル館のせせらぎで調査する必要が出た場合は、トラップを掛けるのが最適なのではないでしょうか。
 

これだけの累代飼育を続けられた一番の要因の一つが決してせせらぎに入らないこと、と伺って 来ました。これはホタル再生箇所のどこでも同じで、皆さん数は方程式をお教えし、成虫でカウントされます。幼虫は1匹でも多いほうがいいので、幼虫期には決して水の中に入らないでください、とお伝えしています。

 

調査に対して元館長は、命を失われたホタルが数万匹、残っているのは数千匹ではないかと予測されていましたが、やはりこちらの方が実態ではないかと思います。

 

元館長はとにかく生物の命を最優先にされる方です。長年、研究を重ね、手塩にかけて育てて来たせせらぎに突然、踏み込まれ、多くの命を奪われた心中を考えると筆舌に尽くしがたいものがあるように思います。 

  • ゆらぎによる癒し

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