ホタル生態環境館での成虫及び幼虫数の確認方法

産 卵

プラケースの中にハイゴケが敷いてある産卵ケースです。これが今までの産卵風景で、夏になるとよく見かけ、多くのお客様もご覧になっているものです。これは多いときで40ケースぐらい並ぶそうです。

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〈参考写真〉産卵ケース

この中に毎日夜せせらぎから採取したホタルを1ケースにメス100匹に対してオス150匹ぐらいを入れて産卵させ、卵を確認した後は、産卵した苔を蓋の上に載せると、孵化した幼虫がプラケースに入れた水の中に落ちていきます。

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〈参考写真〉産卵しているゲンジボタル

せせらぎで交尾する残りのホタルもいる為、水辺の生き生きとしたハイゴケも必須なのです。

このホタル産卵用の苔も長年の研究で多くの苔の中から最適な種類が決まり、いつもせせらぎで、養生させて、青々とした生き生きした苔が使用されていました。  

現在、ホタル館で新しい管理会社によって展示室で使われている苔は、乾燥させたミズゴケで、一般的 に観葉植物に使われているものです。ネットで検索しても、確かに一部ホタル飼育に使用されています。

・・・が、今はホタル館と同じようなハイゴケやハナゴケなどの生きた苔が多いようです。農薬が掛かっていな いことが条件です。

   
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  (写真参照)ゲンジボタル産卵箱の中のミズゴケ

現在使われているミズゴケは防腐剤として農薬が付着しているため、卵は産んでも孵化率が非常に悪く、孵化自体が少ないそうです。今のままでは残されたホタルの世代交代が望めないのではないかと懸念されます。

ゲンジボタルは1匹のメスが500~1000個、ヘイケボタルは50~100個卵を生む。

 

孵 化

ホタル館の孵化幼虫は約数90万匹から100万匹と聞いています

孵化幼虫はほとんどゴミにしか見えないぐらい小さいので、いつも来館者が顕微鏡で観察出来るようになっていました

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  〈参考写真〉孵化幼虫(体長約1㎜)

プラケースの大きさが分かるように手も写してありますが、孵化幼虫がプラケースの中に全部で5万匹います。 この孵化幼虫を毎年、インターシップの学生達がカウントしていました。この数を以前はすべて議 会報告されていたそうです。報告する義務があるためこういう方法を取られていたのでしょう。

昨年秋、卵から孵化した孵化幼虫を約90万匹せせらぎに放流されたそうです。この数はすべて報告が上がっているとのこと。

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〈参考写真〉ヘイケボタルの幼虫の塊
 
    

その以後の幼虫数の確認

通常、基準水槽というのがあって、そこに孵化幼虫100匹を入れ、その数の変遷を確認されて、全体数を推測し、また、次の年の成虫の数で確認するという作業の繰り返しで導き出されてきたそうです。

  

せせらぎ内の幼虫の生息数調査

使われていたのがトラップを仕掛ける方法です。せせらぎの状態を維持しながら行うのはこれしかないそうですが、今はほとんど行わないそうです。 

 

幼虫は脱皮毎に数を減らし、1月末には7~9万匹ぐらいまで少なくなります。ゲンジボタルが6回、ヘイケボタルが4回脱皮し、上陸、羽化する中で、徐々に数を減らし、淘汰されます。

通常、自然界での羽化率は0.05~0.1%といわれていますが、それよりは高いということなので、最終的に成虫が2万匹前後羽化するのが、同館のホタル生息数の移り変わりです。

これが5月の連休明けからランダムに羽化し8月いっぱい、9月ぐらいまで続きます。6月のゲンジボタルの夜間公開時に約4000匹、7月のヘイケボタル夜間公開時に約10000匹ぐらいが 集中 して羽化するように調整されています。

ですから、これはいくら25年続けて来ても1日も気を抜けない状態のようです。

  

ホタル館には、和光大学 堂前教授との共同研究で、開発された5日以上毎日夜数えて推定 羽化数を出す、正式な方程式があります。

     総羽化数を出す方程式  X(総数)×3÷3.9=羽化数

                                                      ※ X(エックス)は最低5日以上、毎日数えたホタルの数の合計
 

実際には、今までの同館では、成虫の数は基本的に毎夜、10月ぐらいまでカウントされて、何年も続けて実測数を求めた結果、導き出された方程式だそうです。 

   

また、平成2年から昨年までの累代の死亡個体もすべて保存されているそうです。

 

水質検査と温度管理によってしっかり守られていたせせらぎ

 

濾材(石、砂や用土など)の調節で適正水質に保つために行うのが水質検査です。ホタル館で長年の研究で導き出されたホタル生息に相応しい標準値13項目すべて決まっています。 

今までのように安定している状態の場合、11項目の検査でよかったかもしれませんが、逆今こそ更に2 項目、リンと硫化水素も加えて検査する必要があるかもしれません。

流れが変われば溶存酸素量も変わり、硫化水素などが発生する可能性があるからです。

 

もし、1月に幼虫が少なくなっている可能性があるとしたら、それは急激な水質変化か温度変化が起きた場合。

 

水質については、循環式で水路内と濾過槽に濾過能力の高い濾材(用土は特許製品)が使われているため、少々のことは変換してしまいます。また、阿部元館長は毎日せせらぎのお水を飲んで確認されていましたので、水の味には普通の人より敏感なため、変化があればすぐ対応されます。

 

また、温度については、人間にとっての1度をホタルは5度の差に感じるため、0.5度ずつ調整されていたそうです。ですから、1度変えるのに4日かけていたと聞いています。

 

ホタルの羽化状況を見ながら、この微妙な温度調節で、夜間公開の日にピッタリ羽化のピークを合わせられたのだと思います。

昨年もスタッフが上陸羽化を確認されていたと聞いています。といっても、上陸後はホタル頼みになるため、春先から夜間公開までは、毎年非常に神経質になられていました。

 

このように厳密な管理の元に累代飼育が実現されていたため、1月の調査の日の幼虫の大きさがどのくらいかというのも温度設定から分かっていたということです。

ですから、1月の調査時に幼虫がいない可能性として、考えられる急激な水質か温度変化だそうで、この段階でそれは全く起きていなかったということです。 

 

濾材の開発から選択、蛍産卵苔の種類、水質及び温度管理とすべてに於いて、 ここまで厳密に管理確認されていたことを知り、昨年の乱舞を見ている人間には、今年の羽化数を見れば、多くの幼虫の命が奪われたということが歴然と分かります。

 産卵ケース及び産卵写真 阿部宣男氏撮影

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