ホタル等生息調査結果と元飼育担当職員の報告数の乖離についての反論
板橋区ホタル生態環境館に関し発表されたこの報告書は、確たる証拠は何も無い、偽証と憶測に基づくどこのホタルをDNA検査したかが分らない内容です。
ホタル博士 阿部宣男氏により、福島県双葉郡大熊町熊川のゲンジボタル、栃木県日光市(当時、栗山村)のヘイケボタルのDNAが累々と受け継がれ、2014年1月26日迄、確実に24世代目まで累代飼育されて来ました。
1月27日資源環境部環境課によるホタル等生息調査によって、多くのホタルの命が途絶えた後、せせらぎの環境及び生態系が破壊され、その他のDNAが持ち込まれた可能性も示唆するものです。
2015年1月20日、板橋区役所に於いて 区民環境委員が開かれました。2件の陳情の審議と共に、板橋区ホタル生態環境館の累代飼育に関し、以下の報告書が公表されたが、廃止に向けて、昨年2014年1月27日強引に行われた“板橋区ホタル生態環境館におけるホタル等生息調査”及び“ホタル持ち込み疑惑”“あり方検討結果”に関する偽証などの集大成と捉えられます。
報告書p36―累代に及ぶ板橋育ちのホタルが現時点において存在していないことを意味する。―と結論付けています。
区民環境委員会運営次第 http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_kurashi/066/066797.html
板橋区ホタル生態環境館のホタル等生息調査結果と元飼育担当職員の報告数との乖離について(報告)http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_oshirase/066/attached/attach_66991_1.pdf
この報告書に対し、代理人弁護士よりプレスリリースされた、以下に始まる反論を公開します。
―当核報告書には様々な問題があり、専門性の欠如、客観性の欠如、論拠としている内容の矛盾、阿部氏の実践の無視等を指摘することが出来る。 http://luciola.co.jp/images/pdf/0127-2.pdf
また、1月26日、板橋区ホタル生態環境館の廃止へ向け、区民への告知も了解も無いまま、板橋区資源環境部環境課がせせらぎ内の底をさらい、生態を水槽に移し、水を抜くという作業をスタートさせた。― (文中より抜粋)
この報告書の作成者はまず、ホタル飼育というものを非常に侮っています。まず、ホタル生態環境館に足を運び、学んだもの、ホタル夜間公開を体験したものからみると机上の空論でしかありません。全編、何とかホタル生態環境館を廃止に持ち込もうと、持てる想像力を総動員して作られたことが明らかです。
―見解より一部抜粋しながら補足―
p4(エ)生息調査の方法について
生息調査の間違いについては、当エル・コラム 板橋区ホタル生態環境館 羽化によりホタル生息調査の間違いが明確になる 参照
(3) 論拠としている内容の矛盾
ア 平成26年2月1日の阿部氏によるトラップの存在
p8―本件報告の中に、1月27日の5日後である2月1日に阿部氏がせせらぎ内から幼虫を採集していることが報告されている。
これをこの報告書に至るまで隠していたことも非常に疑問である。つまり阿部氏は1月27日に乱暴な手法で見つけられない幼虫を採集したのである。であれば、同様の方法を繰り返し検証し、1月27日の結果を検証することもできたはずである。今頃になって、この結果に対して生態調査を覆す資料としてではなく、かえって飼育実態がないことの資料として用いようとする姿勢は、とにかく生態調査の結果を合理化するための一方的なものとしか言いようがない。―
報告書p6-7―元飼育担当職員は、「この時期のホタル館に生息するホタルの幼虫は、体長がせいぜい6~8mm程度であり、その胴体の太さは1mm程度のものである。」と述べ、調査中の濁ったせせらぎで、流されたホタルは、目視することは困難としている。
元飼育担当職員が仕掛けたというとラップ(平成26年2月1日報告)により、捕獲したヘイケボタルは、写真(トラップ内のヘイケボタル)のように、約30匹中で10mm程度のもの(現ホタル飼育担当者が確認)が数匹確認された。このように元飼育担当職員の言うような大きさ(6~8mm)ではないものがあった。―
報告書に掲載された写真は明らかに当時の写真では無い
実際に使われたステンレスバットの大きさは10.4cm×13.5cm。写真の上の赤のラインが正確な縦横の比率になっているので、比較してみると若干横長、周りに黒っぽいプラスチックのような縁が見え、しかもお水を目一杯入れて分かりづらくしているので、違う入れ物を使用している可能性が高いと考えられます。
左が実際に2104年1月30日、飼育室内の水槽にいた幼虫の写真を区民が撮影したものです。(この幼虫の動画は生息調査のページ)この時の温度管理は水槽よりせせらぎの方が厳密に行われていたため、水槽の方は若干、より温度が高い可能性が考えられるので、せせらぎ内の幼虫の方が小さい可能性が高いのです。ところが、報告書に掲載された右の写真の幼虫は当時捕獲された幼虫よりかなり大きく、しかも、ここに写っている幼虫は30匹どころではなく、どうみても50匹以上います。いったいどこから出てきた幼虫なのでしょうか。
この時、引き上げたトラップ内には1cmほど硅砂(写真参照)とエサが入っていた。写真にはまず以下の硅砂が入っていません。
硅砂の入ったステンレスバットを環境課職員に渡し、その時、数えたところ28匹だとの報告で、そのまま水槽に移してしまい、空のステンレスバットをスタッフに戻したそうです。硅砂から幼虫を取り出して入れ直すにはかなり時間が掛かります。この間、このような写真を撮ることは考えられないとのこと。もしかしたら、大きさから考えて、現在、ホタル生態環境館で飼育している幼虫の写真なのかもしれません。ここでも別の写真を使用し、印象操作を行っている可能性が高いのです。
報告書p29―このトラップを仕掛けた時には、区職員は立ち合っておらず、設置後の2月1日にトラップ内にいたヘイケボタルを確認したものである。また、その際、中に入っていると聞いていた餌はなかった。なお、偶然かもしれないが、ヘイケボタルを30匹も捕まえられるトラップなのに、同じ餌に釣られるはずのゲンジボタルが捕まえられなかった点は疑問が残る。―
この時、環境課職員2名が立ち合っていたという。その上、バットの中には硅砂と餌が入っていたのに、共に写真には写っていません。この報告書はほとんどがこのような偽証で成り立っているのです。
また、ヘイケボタルが多かったのは、調査時、彼らは水際にいたという。したがって生き残っていた可能性が高かったのではないかと考えられます。すべては阿部氏に事前確認を行わず、生態特有の習性を把握しないで行った調査の仕方そのものの問題をすり替えている発言ではないでしょうか。
ア ホタルの持ち込みという分析と評価について
(ア) ハイゴケに関する配送に関して
p6-7―元職員に対するヒヤリングで、「ハイゴケである。ホタルの産卵用の苔である」と回答している。“花”と書かれた宅急便の中に入っていたものは苔であって、ホタルではない。
一般的に苔等を扱う業者が送付する際に“花苔”という表現が良く使われるため、その略で花と書いたということであって、それ以上のものではない。―
―ハイゴケはホタルの産卵用苔として、使用するので、羽化期には不可欠である。ホタルの産卵には新鮮なハイゴケが必要であり、ホタルの羽化する時期には毎年、常に新鮮な苔を用意していたことを、資源環境課の管理職が知らないことこそ奇異といえる。あまりにホタル飼育に無関心だった主管課の実態が推察される事象の1つとも言えることである。また、苔は使用前に傷んでしまう可能性があるため、少しずつ頻繁に送ってもらっていたということであり、かかる事実を否定するためには根拠を示すべきである。もし、この苔がホタルであるのであれば、別途、苔の伝票がなければならなくなるが、そのようなものが存在しているはずもなく(14頁の伝票がそのものであるので)、本件報告の考えは到底成り立たない。
しかも平成25年には、実際にホタルが多数の産卵をし、孵化幼虫が100万匹近く生まれており、それらはすべてインターシップの学生が数えて報告を上げている。このような事実はまさにハイゴケの存在によって支えられていたのである。―
当エル・コラム ホタル生態環境館での成虫及び幼虫数の確認方法 掲載写真にも並んだプラケースに入った産卵用ハイゴケが見られます。これを螢産卵苔といい、産卵時期はたくさん必要なのです。
左の写真が、新鮮な苔に産卵しているところで、右の写真はほぼ産卵と孵化の終わった時期のもの。この苔がどのように大切かを全く把握していない環境課が憶測で考えた持込み数字でしかありません。
(イ) 箱詰めホタルの写真について
p7―乙神社からの箱詰めホタルの存在は確かに認められるものの、この乙神社からホタルが送られてきていた事実については、既に板橋区における委員会でも議員から「これは持込みとは関係の無い写真ですか」と問われて、資源環境課長が関連性のないことを認めていたのであって、本件報告の中にこの乙神社のことが記されていること自体まったく理解不能です。これもまた、印象の操作のためか無理解によって掲示されたものとしか言いようがない。
ホタルの雌雄の仕分けは分かりやすいので、神官に出来るのではないかとの推測が報告書内で語られているが、実際には出来ないから手伝っていた。標本で動かないホタルをみれば雌雄の区別はついても、現実の生体を前にしてはかなり難しく、動いているホタルを傷つけずに簡単に出来ることではない。だからこそ乙神社はその作業をホタル環境館に依頼をしてきたのである。もちろん、この神社は板橋区と正式に特許料を支払い、契約しており、その契約に付随するサポートとして行ったものである。―
宅配業者に確認をして1年半以上前の宅急便が軽かったかどうかなどということを覚えているというのは通常考えにくいでしょう。実際、ホタルを送る際は保冷剤を入れるため、案外重くなるということを、生態を知らな環境課管理職には思い至らなかったということが明白です。すべて、印象操作に過ぎないのです。
また、ここにホタルが入っていたと推測して計算し、丁寧な記述が為されているが、ホタルが入っていたという証拠は何も示されていません。それと見まがう記述の積み重ねによる印象操作に過ぎないのです。
報告書p13―質問 :苔をどれくらい送ってくるのか。回答:10箱ぐらいである。―
この発言に対し、実際は21枚あったという。伝票を目の前にして、日付を見たわけでなければ、数字の記憶違いがあったのだろう。一部、他のものも入っていたようだ。従って、証拠は何も示されていない、憶測と推測のみで組み立てられた数字です。
因みに持ち込みの偽証をした人間は既に関係者が特定しているそうです。いずれ、裁判で証人申請されることになるだろう。
P7-8イ DNA解析による報告について
―ホタルのDNA分析に基づく報告については慎重な判断が必要である。
―今回の解析がどこのホタルによって検査された結果であるのかは分からないということを指摘しておく。
通常、こういう検査であれば、第3者立会いの元、DNA解析に出さなければならないが、ホタル生息調査と同様、密室で決められた可能性が高く、今回のDNA調査に用いられたホタルが以前からホタル生態環境館に生息していたものであるかどうかというそもそもの前提条件が不確かである。ホタル生態環境館のホタルであるということを全く特定出来ないというやり方そのものが解析方法以前の問題である。―
―また、解析については、DNAの抽出方法は記載されていたが、その後の調査・分析方法がなく、結果のみである。 現管理会社である自然教育研究センターによる業務日誌と羽化数の報告書にその内の何匹をいつDNA解析に出したという記述があるのか確認できない。
さらに言えば、自然教育研究センターが受託している足立区生物園のホタル購入先は関西の業者である。その根拠については、足立区職員が以前、ホタル生態環境館館長のところへ購入したホタルを持って相談に来た際、その箱の送り主が関西であったことを複数の人間が目撃している。従って、このDNAの検査結果が正しいとすれば、このルートから西日本のホタルを持ち込まれ、交雑した可能性は否めない。今回のDNA検査結果を見る限り、昨年調査以後、今までは厳密に保たれて来た現在のホタル生態環境館の大熊町のゲンジボタルと栗山村のヘイケボタルの累代飼育そのものが崩され、他の遺伝子と交雑してしまった可能性が高いと言わざるを得ない。仮にそのような結果が生まれているとすれば誠に遺憾である。―
尚、DNA解析については、結果的に現管理会社の飼育記録簿に検査に出した記載が全くありません。また、抽出以降の解析に関して詳細なデータも無く、結果報告そのものにも疑問があるため、分かり次第追って報告いたします。
―検証を順次掲載― 続きは板橋区ホタル生態環境館のホタル累代飼育は確実に行われていたへ